ものはためし

書く訓練、備忘録

シャッターチャンス

「これから始まる夜のうちでは今が一番明るいよ」とその人は言った。夕暮れ時に屋外で記念写真を撮ろうとしたらすでにだいぶ暗くなっていて、明るいうちに撮っとけばよかったね、もう暗いからだめだね、と諦めかけたわたしに対して。なるほど、そういう考えはなかった。5分前より今は暗いけど、5分後よりは明るい。ちょっと笑って、薄暗い中2人で写真を撮った。

 

さて、冬が迫っている。それは、夏とは全く違う人格の自分との戦いで、憂鬱との戦いである。なぜ自分はこんなに冬の寒さに弱いのか、そもそもなぜ冬は寒いのだ、など考えても仕方がないことを考えているうちに時間が過ぎまた冬が近づく。やりたいことがたくさんあるのに、コンディションが次第に悪くなっていくのを感じて焦る。

 

ここで、ちょっと前に撮った写真のことを思い出した。少しずつ元気が無くなっていくということは、これからの中では今が一番元気ということだ。やりたいことをするなら今しかない。絶望を裏返してフラッシュをたき、シャッターを今すぐ切るのだ。

 

なんて熱いことを考えながらあくびして、のそのそと布団に潜り込んだ。今夜は寒い。