ものはためし

書く訓練、備忘録

遅刻ぎりぎりで登校しているとき考えること

地面に蟻がいる。蟻は私の足を避けることができるだろうか。蟻はそんなに速く走れないし、頭上の私の足を認識できるほどの視力を持っているのか怪しい。蟻は走っているつもりなのか歩いているつもりなのかどちらなのだろう。そういえば蟻のような小さな生き物は二次元で生きているようなものだという話を聞いたことがあるが本当だろうか。その話は理系の友達から教えてもらったのだが、そのとき私は、こんな面白い話をしてくれる理系の友達がいてよかった、もっといえば総合大学に入ってよかったと思った。そう思ったことだけはしっかり覚えていて、その話の詳細は忘れてしまった。あ、そのとき友達は蟻ではなくてカマキリを例に出していた気がするけど違ったかな。蟻だろうがカマキリだろうが私にとって小さいことに変わりはないが、蟻にとってカマキリは巨大な生き物だろうから話が全く違ってくるんじゃないか。

こんな風にくるくると考えを巡らせながら、せかせか歩く。せかせか歩くと、地面の蟻に注意を払えない。家を出てから学校に着くまでに私は一体何匹の蟻を踏み潰してしまうのだろう。しかし、せかせか歩かねば遅刻する。遅刻しないことと蟻を踏まないことを天秤にかけるとおそらく私は蟻を踏む。そうなると、蟻の命と授業なら授業が大事ということになり、そこで少し考え込んでしまう。

考え込みながらもせかせか歩く。

学校に着く。大学の遅刻というのは面白い。授業開始時間ではなく、教授より先に教室に入ればよく、しかも教授が定刻にやってくることはほとんどないのだ。特に天気が悪い日の方が遅いような気がする。しかし今日はまあまあ、天気がいい。

そうしてせかせか歩き続け、なんとか教授より先に教室に入り席に着いた私は、もはや蟻のことなどさっぱり忘れているのであった。