ものはためし

書く訓練、備忘録

へき

そういえば前の冬に人と飲みながらカニバリズムの話をした。おいしいかは別として、形状的に耳が1番食べやすそうという結論になった。次の日耳が腫れた。

わたしは何故かくたびれると耳が腫れる。リンパか?よくわからん。ある時あまりに痛くて耳鼻科に行った。するとお医者さんが「耳にばい菌が入ってるね、あなた耳を触る癖があるでしょう」と言ってきた。わたしは耳を触る癖などないので否定すると、それでも更に「ほんとうに?触ってるんじゃないの?」と言われたので、ムキになって強めに「触ってません!」と返してしまった。でも後で考えると確かに耳を触る癖、あるかもしれない。ある気がしてきた。なんであんなに強く言い返してしまったのだろう、恥ずかしい。

耳が痛くなる原因は別の時に突然判明した。顎関節症らしい。そのときも前と同じ耳鼻科に行ったのだが、「こうすると耳が痛い」と説明するたびに「痛いのは耳じゃない、顎の関節なんだよ」といちいち訂正されたので、ムキーッとなりまた言い合いになるところだったが我慢した。だって正しいのはお医者さんですからね。

 

 

夜に帰宅するとマンションの前にねこがいた。3匹くらいいた。そして、わたしとねこ、どちらがどちらを先に見たのか忘れたが、わたしは1匹のねこと目があった。絶対に先に目をそらすもんかと思ってじいっと見た。見つめながらにじり寄って近くにしゃがみこむが、すごい、逃げない。ねこは花壇の草をふみふみした。ふみふみ!いかにもねこの動きだ!わたしはじいっと見つめた。

と、ねこがおもむろに、おしりをこちらへ向けて、じゃーっと排尿したのだ。なんと!なんとまあ。ひとの敷地内で。ひとの花壇で。ひとの目の前で!驚きのあまりわたしはスッと立ち上がり、よろよろ家に入った。野良猫にしてはひとの目を気にしなさすぎる。こんな近づかれて平気なのか?もはや楽しいのか?そういう癖のあるねこなのか?心がざわざわした。先に目をそらさまいとした最初の意気込みはどうした。精神力でいうと完全にわたしの負けである。

 

次の日の帰宅途中にも驚きがあった。公園の横を通ったとき角の向こうからおじさんがやってきて、突然立ちションしたのである。おやおや!?この、うら若き乙女の面前で?尿意にそんなに耐えられなかったのか?昨日見たねこを思い出した。しかしねこと違っておじさんは、絶対にじっと見てはいけないと直感した。足早に通り過ぎてから、ひとりで少し笑った。