ものはためし

書く訓練、備忘録

滑る箱に乗って

週末、1人ですこし遠くまで出かけた。電車で遠出することは滅多にないから、何もかもが新鮮だった。窓の外や車内広告を眺めたりアナウンスを聞いたりするだけで楽しい。きょろきょろしすぎて怪しまれないように気をつけなければならなかった。

昔の知り合いと同じ名前の駅を通過した。元気かな。この電車でばったり会ったりしないかな。そんな考えが頭をよぎった。ありえないのは分かっているけれど。

 たまに兄弟が働いている会社の広告を見つけると、兄弟を思い出して元気が出る。広告は決してそういうためにあるわけではないのに、不思議なことだ。

 キリンのような格好で寝ているあの人はどこへ行くのだろう。通路をふさぐ大きなスーツケースには何が入っているのだろう。窓の外を眺めているおじいちゃんに、孫はいるのかな。いるのなら、何歳なんだろうか。

 度の過ぎた好奇心や想像力は変態になる。私は目をつぶった。