ものはためし

書く訓練、備忘録

4月

電車で爪楊枝をくわえたまま立っているおじさんがいた。うける。わたしは口に棒状のものをくわえたまま移動してはならんと教えられ(歯ブラシ、キャンディーの類)、それは転んだ時喉に刺さると死んでしまうからで、しかしこんなに揺れる電車の中でおじさんが転ばんとも限らないのに呑気に立っていたから面白かった。でもよく考えたら大人ってそうそう転ばないよな。子供と比べて頭が重すぎないから。

 

持病がなかったらよかったのにな。ずっと飲んでいた持病の薬の副作用が出はじめたので飲めなくなった。けど飲まなければいずれ再発するので怖い。怖いけど、持病は死なないがその副作用は放置すると最悪死ぬのでそれよりはましなのだろうよ。 自分の身体に爆弾が埋まっているという感覚が、症状の出ていない間も心の余裕を蝕んでいると思う。といっても仕方がない、この身体以外に替えはないのだ。

 

職場の最寄り駅から一歩外に出たところにスズメが一羽横たわっていた。朝から悲しいものを見たなと思った。しかし全ての生き物はいずれ死ぬのであり、そこらへんを飛び回っているスズメの数だけ横たわるスズメもいるはずである。気にせず出勤。わたしは新人なので、担当の上司と交換日記をすることになっている。毎日その日の業務を振り返って、学んだことや次の日の目標を書く。その日わたしは危うく「出勤時、スズメが落ちていました」と書くところだった(どうしても誰かにその話をしたかったため)。しかし、業務に関係ないことは趣旨に反するので削除。そんなことこそブログに書け。

 

穴あけパンチのゴミを捨てようと思ってゴミ箱の上で蓋を開けたら、思ったより力が入りすぎていて宙に白くて丸いパンチ穴が舞い、わたしのデスク周りに雪が降りつもった。びっくりして変な声が出たが、今まで猫を被って高い声でしゃべっていたわたしが急に低い声で唸ったので周りに驚かれた。

掃除機を出してきてもらって床を掃除した。コロコロを持ってきてくれた人もいた。わたしの変てこなミスに部署の人たちがわらわら集まってきて、嬉しいやら恥ずかしいやらで不思議な気持ちだった。

 

毎朝通る駅の掃除のおばさんに挨拶すると「行ってらっしゃい」とか「まだ雨降ってた?」とか話しかけてくれるのが嬉しい。その会話がわたしにとって1日の最初の発声になることを、おばさんは知っているのだろうか。

夜家に帰って、ご飯を食べて、次の日のお弁当とご飯の準備をして、お風呂に入って、寝る。

こうやってずっと生きていくのかしら。

 

大型連休前半、人の家で惰眠を貪り休日を溶かす。

デートより麻雀が優先されたのでむくれて帰った。しかし帰る途中で本屋に寄りお目当ての本を手に入れたのと、歩きやすく且つかわいい靴を見つけて買ったのとで、機嫌は回復。自分で自分の機嫌を取れたということに満足し、更に上機嫌。これでこそ大人である。ほんとうの大人はそもそも不機嫌になったりしないのだろうが。

 

家に着いて部屋を片付けた。普通に暮らしてるだけで部屋って散らかるよな、これわたしだけかな。

お気に入りのスカートのボタンが今にも取れそうになっていたのをちょん切って、しっかり止め直す。裁縫はやや得意である。ボタンの色にぴったりな色の糸をたまたま持っていて、いい感じに取り付けられたのでよかった。よく糸の色を間違えてちぐはぐになってしまうので。

 

ご飯を作って食べながら、見逃し配信でドラマを観た。主人公がひたすら「頑張ろう」みたいなことを言っていて、機嫌が悪い時に観たら「頑張れ頑張れうるせえよ」と思うかもしれんが今日は機嫌がいいので「よし、わたしも頑張ろう」と思った。単純である。今日買ってきた本を早速読もう。勉強のやつ。

 

おわり