ものはためし

書く訓練、備忘録

家の窓からいつもははっきり見える海辺の赤いキリンたちが今日は霞んでほとんど見えない。霧かと思ったが冬は乾燥のあまりに霞むことがあるということを最近聞いた。仕組みはよくわからないがそれかもしれない。

隣の庭を見下ろした。柿の木がある。最近わたしは朝起きると窓を開けて、柿の数を数えるようにしている。今日は12個だった。数え始めた時からだいぶ減った。最後の1つになるまで数えるつもりでいる。

はらり。柿の葉が1枚落ちた。そうだ、実だけでなく葉もどんどん少なくなっていく。砂時計を見ているような気持ちになった。風が吹いて全部の葉がいっぺんに落ちることにおびえている今この瞬間にも、何もせずとも1枚1枚、落ちていくのだ。

大好きな人たちのことを考えた。何もしないで、今の居心地いい関係がずっと続けばいい、などと言っているがわたしたちはどうせ時が経てばバラバラになる。

昔のノートを読んだ。抱えている問題やいる場所や好きな人は変遷してきたけれど、強く願っていることは変わってないんだなと思った。大好きな人たちに悲しいことが起こらないでほしい。でもきっとそれは難しいから、せめて、幸せなことを増やして悲しいことを薄めていきたい。

 

これから雨が降るというのでわたしは雨を待っていた。降ってほしいわけではなくむしろ冬の雨は寒いから嫌だけど、予報で雨が降ると言ったのだからどうせなら降ってほしい。わがまますぎる。

雨がいつまでも降らないのでわたしはカーテンを開けて窓の外を何度も見た。相変わらず海辺の赤いキリンたちはそこにあるのは分かるがぼんやり霞んでいる。一瞬、柿の数が減っているように見えたが角度の問題で、しっかり12個木にぶら下がっていた。

気づいたら雨が降り始めた。あんなに待っていたのにちっとも嬉しくなかった。わけが分からないけれど、こういう感情はおそらく理由をつける必要のない部類なので放っておく。