におい
「自分へのプレゼント」みたいなのはあんまり好きじゃないけど去年のクリスマスは急に思い立って買った。
色んな種類が少しずつ小さな瓶につめられた、アロマオイルのセット。
朝起きて思ったこと
「お上品なおじさんのにおいがする」
1週間ほどすると、部屋で水栽培していた植物が枯れ始めた。よく考えれば分かることだが、アロマオイルというくらいだから油である。水栽培の鉢の水にも油は浮くし、葉っぱが息するところも詰まっちゃったんじゃないかな。幸い植物は枯れきってはいなかったので、水をかえて、葉っぱも拭いた。それからアロマを焚くのはやめた。
それから半年以上経ち、植物が元通りぴかぴかに元気になった頃、久々にアロマを焚きたくなった。また枯れないように植物はベランダに出して隔離してから焚いた。いいにおい。思えば前のクリスマスから今まで、色々なことが起こったな。「だってあなたあの時言ったのよ 匂いはは記憶だよって」という歌詞を思い出す。
それで次の次の日くらいの朝に植物を部屋に入れたらまた枯れた。においは残っていないけどなんかやっぱりダメだったのだ。二度目の失敗で植物を傷つけてしまった自分にわたしは心底うんざりした。
大切なものを大切にしようと思うのに大切にするやり方が分からなくていつも失敗する。大切に思うだけでは足りないし愛情をかけてもそれが裏目に出ることはある。そういうことを乗り越えてみんな生きていると思うとくらくらする。
植物の鉢の水を変えた。天気がいいから日が当たるように外に出した。
あ、
今と未来のことだけを考えて生きることはできないかしら。悲しいことがあったかなかったか、幸せだったかそうでなかったかということすら考えないで、何も反芻しないで淡々と、マラソンみたいに。