ものはためし

書く訓練、備忘録

わがまま気のまま

チェーンのカフェでフレンチトーストを食べていた。私は飲み物は食後に飲むタイプなので、紅茶は冷める一方だった。これは小さい頃から少食で、先に飲み物を飲むと食べ物がお腹に入らなくなるが、食べ物を先にしてお腹がいっぱいになっても飲み物なら入るから、というおかしな理由でついた癖だった。

紅茶はストレートが好きで、久々に帰省して家族でお茶をしたとき何も聞かずに誰かが私の紅茶に牛乳を入れたので少しムカッとしたことを思い出した。それほどムカッとしたわけではないしミルクティーも嫌いではないのでその時はそのまま美味しくいただいた。後でふと思い出して母と姉にその話をしたら、牛乳を入れたのは自分だと母が言ったので、なんだか申し訳なかった。私としては、カフェなどに行くと必ず飲み方を聞かれるし、自分で作ればもちろん思い通りになるので、何も聞かれず紅茶に牛乳を入れられるという出来事が久々に起こりびっくりした、ということをただ言いたかったのだが、多分そのニュアンスは伝わっておらず結果的に母を責めたようになったのではないかと思って後悔した。

目の前のカップルの男の方が、ジャケットを脱いで椅子にかけていたけれど、その内側からチラチラと、クリーニングのタグが覗いていた。かなりボロボロだった。ボロボロになるまで気付かずに着ているのだった。それか、そういうデザインかもしれない。

そういえば、昨日読み終わった本はクリーニング屋で働く女性が主人公だった。軽い恋愛小説が読みたいと思って本屋で手にしたが、読んでみると本当に軽い恋愛小説だったので、目的通りなのになんだかちょっと残念だった。へそ曲がり。後で知ったがその本は脚本家が書いたドラマの原作のようなもので、だから描写が映像的だった。あと目線が固定されないのも慣れていなくて気持ち悪かった。

フレンチトーストやワッフルのようなバターのきいた食べ物は大好きなのだが、途中で気持ち悪くなって食べられなくなる。それを分かっているのにメニューを見ると食べたくなって注文してしまう。半分くらい、一緒にいる人に食べてもらうことが多いけれど、途中で食べられなくなって食べてもらうというのはめちゃくちゃマナー的に悪いのでやめたい。具体的には、そういう食べ物を注文しないか、最初から半分に分けて食べてもらうかするべきだと思う。だけどやっぱり食べられるだけ食べたいから、大食いで、そういうのに寛容な人と仲良くしていきたい所存。

まぁそれは置いといて、今日はひとりだった。予測できた事態ではあるが、三分の一残ったフレンチトーストを見つめて私はうーんと唸った。休憩しよう。

気づけばクリーニングタグカップルは退席していて、目の前にはまた別のカップルが居た。私はお店で周りが気になるのでいつもできるだけ入り口や人がたくさんいる方に背を向けて座るようにしている。客も気になるが一番気になるのは店員の動きである。自分が飲食店でアルバイトをしているからだと思うが、忙しそうだなとか、この人何時から働いてるんだろうとかそういうしょうもないことを考えてしまう。考えたらだめなわけではないが、私はそういうことを考えるためにお店に入るわけではないから極力気にしないでいたい。気になるというのはどうにもならないが、こうやって座る位置を変えるだけで視界に入らなくなり、気にしないで済むなら、色々工夫するのも無駄じゃないと思う。

そうこうするうちに残りのフレンチトーストを食べ終えた。食べ終えてからクリームが添えられていたことに気付いたが、もうドロドロに溶けていた。人のクリーニングのタグには気付くのに自分のお皿のクリームには気付かない、私の目と頭はおかしいと思った。