ものはためし

書く訓練、備忘録

体温計

体温計が信用ならない。続けて何度か計っても毎回違う体温が表示されるのだ。酷い時だとその差は1℃くらいあるので本当に信用ならない。そこで、5回くらい計るのだが結局どの数値を信じて良いか分からないし何度も計るのにもうんざりする。

最初、熱がありそうだと思って体温計を脇に挟んだが平熱だった。いやそんなはずがないと思い何度も計り直すうちに、微熱の数値が出た。よっしゃ、と思わず言ってから、あれ、と思った。私は熱があることが嬉しいのか。熱があって欲しかったのだろうか。

結局のところ、私は自分が満足いく数値が出るまで測り続けるのではないか。体感的に微熱かなと思ったら微熱の数値が出るまで納得いかないし、かなりしんどいのに平熱くらいの数値が出ても信じられないのでもう一度計る。なんなんだ。なんだかもう嫌だ。私は熱と闘っているのであって、こういうよく分からない自分の心理と闘っているわけではない。

あと、体温計のスイッチを入れるとき強く押すとなぜか2回押したことになり、ピピッと鳴って一瞬で電源が付いて切れる。本当は軽くピッと押さなければならないのだがそれは至難の技であった。

数値がきちんと出ないこととスイッチを入れるのが難しいことにより、私は電子体温計にほとほと嫌気がさした。これなら水銀が入ったアナログタイプの方が信用できるかもしれない。しかしアナログ体温計は計るのに時間がかかるし、計り終わってもピーッと鳴って教えてくれたりしないので、それはそれで不便なのだろう。

今、手元にある電子体温計をじっくり眺めた。健康機器メーカーのロゴがあった。それは全国的に有名なメーカーだが、かつて私の地元に本社があった。大きな工場、倉庫、社員食堂。小学生のときには社会科見学に行き、ロボットアームがガシャンガシャン動くのを見て目を丸くしたりした。あと社長さんか誰か忘れたが偉い人の、地域に貢献云々みたいな話を聞いた。しかし確か私が小学生のうちに、本社がどこか別の場所に移った。工場は縮小されたか全部倉庫にされたか、そんな感じで、かつて賑わっていた社員食堂もがらんとしてしまった。多分その大きな工場はうちの地域をある程度潤していて、それが別のところに移ったのは地域的に痛いことだったんじゃないかと思うが、それは大きくなった今思うことである。そのときは、私の親友の母親がその工場で働いていて、工場が移ることでどうやらクビになってしまうようだったので、そのことばかり心配していた。その親友の母親はそのあとサンドイッチ屋さんで働きはじめたという。そして私たちが高校生のときに病気をして亡くなった。中学からその子とは学校が離れて全く連絡も取っていなくて、ただ小学校のとき同じく私の親友だった男の子と付き合いはじめて、すごくラブラブなのだという噂だけ聞いた。 

成人式でそのカップルとたまたますれ違い、私は2人の名前を呼んだが声が小さかったのか気付いてもらえず通り過ぎられた。追いかけようかと思ったがその勇気がなかった。2人が行ってしまってしばらくしてから、やっぱり追いかけて話しかければ良かったと思った。あと、中学から付き合っているのなら、もう6年くらいは続いていることになるので驚いた。

私はその2人のそれぞれと色々な思い出があって、でもそれは小学生までの話だった。それから今まで2人やその他の友達に一体どれだけのことがあり今に至るのか私は知らなかった。同じように、向こうも私にどれだけのことがあったのか分からないはずなのだが、私だけその地域を飛び出し別の中学に行ったので、私だけ何も知らない気がした。中学受験をしたことを少しだけ悔やんだ。

話が大きくずれたがいつものことだ。こういうときタイトルに困る。最初体温計について書こうとしたけれど結局違う話になった。けれど結局これは体温計から広がった思考なので、全て体温計の話と言ってもいいかもしれない。もう、書きたいことが書けて満足したからなんでもいいけど。