ものはためし

書く訓練、備忘録

お茶

やかんでお茶を沸かしていたら、目を離したすきに吹きこぼれた。IHなので電源を切ると簡単に拭き取ることができるので大したことはないのだが、かなり派手に吹きこぼれていたので思わず「何てことだ」と3回言った。2回目までは自然に出てきたが、2回目を言っている間に、これは3回言った方がキリがいいな、と思ったので続けてもう1度言った。3回目を言いながら、ずいぶん滑稽なことをしているな、と思った。

麦茶パックを入れたままグツグツしすぎたので、お茶は真っ黒な液体になった。白いカップに入れるとコーヒーにしか見えなくて思わず牛乳を入れたくなった。それでも麦茶である。

カップを上から覗き込んで自分の顔を写してみた。悪魔みたいだった。池に映る自分に向かって吠えて、咥えていた肉を落とした犬の話を思い出した。

犬といえば、今日いつもと違う道を歩いていたら、いきなり犬に吠えられた。犬の存在に気づかず民家の庭すれすれをのこのこ歩いていたので無防備だったし、フェンス越しに犬との距離は50センチくらいであった。驚いた私は反復横跳びさながらの俊敏さで跳びのきながら犬に向かって叫び返してしまい、その姿を誰かに見られていないかキョロキョロした。この出来事において、犬は悪くないが私も悪くない。やり場のない怒りのような悲しみのような感情を持て余しながら先を急いだ。しかしいつも通らないその道を通っていつもより時間がかかったので結局遠回りだったと分かった。近道的には意味がなかったが、その道を通る意味がないと分かったので一連の行為には意味があった。ことにする。