ものはためし

書く訓練、備忘録

わるいひと

自分にとっていいことが他人にとってもいいこととは限らず、また同様に自分にとって悪いことが他人にとっても悪いこととは限らない。しかし自分にも他人にもいいことや悪いことはある。つまり色々なのだ。このことをよく分かっているはずなのに、未だに違和感がある。

 例えば、あなたにはAという関係良好な友人がいるとしよう。特に悪いことをされたことはないし仲良くできているので、Aは良い人だと思う。しかしBという別の友人によるとAはBにひどいことをしたらしい。これを聞いたあなたの中でAの認識はどう変わるだろうか?仮に、Bに話を聞いたあなたがAのことを「悪い人だ」と思い始めたとしよう。このとき起こっていることとして2つの解釈がある。

 ⑴あなたがBから話を聞くまで、Aは確かに良い人だったが、話を聞いてから悪い人に変わった。(良い人だったことも悪い人なのも正しい)

⑵Aはずっと悪い人で、Bから話を聞くことであなたはその真実に気付いた。(良い人だったのは間違いで、悪い人なのが正しい)

 ⑴の場合、Bとあなたが会話したことで、Aは何もしていない間に良い人から悪い人に変わってしまうということがおもしろい。

⑵の場合、もしBから話を聞くことがなければ真実に気づくこともないため、あなたはずっと、Aが良い人だと思い続けるはずだ。この場合でもAが悪い人だということが真実といえるのか。真実はあなたがBと話すか話さないかということによって変わるものなのか。とまあ色々疑問が膨らむ。

 さて、この話がここまでややこしくなるのは、「真と偽」、「良と悪」という2つのはっきりしない概念がごちゃまぜになっているからだと気付いた。まず1つづつ定義しなければ。