ものはためし

書く訓練、備忘録

父さんが残した熱い想い

父が私に教えてくれたことは色々ある。例えば足の指の間の洗い方。あとは、アスファルトの上に落ちた花びらを上手く掃いてちりとりに入れる方法(箒の角を使う)、床に鉛筆を撒き散らしていたら足に"突き立つ"からだめ(この場合以外に"突き立つ"という言葉を使ったことがない気がする)、などなど。他にも反面教師的なことがたくさん。

なんだか、自分で挙げながら笑いそうである。生きていく上で大切なことをもっと教わっただろうに、全然思い出せない。

なんだかもうこの世にいないみたいな書き方になってしまったが、父はまだ生きている。私が父に最後に会ったのは2年ほど前になる。喧嘩をしたとか、会えないほど遠くにいるとかではなく、ただ単に会う理由がなかった。けれど最近、兄が父と会ったらしい。そのときの写真を見せてもらったら、父はずいぶん老けて見えた。しかし健康そうであった。

電話をかけてみようと思った。携帯をつついてみたが電話帳に父の電話番号は登録されていなくて驚いた。母に連絡すると、10桁の数字が送られてきた。すぐに電話帳に登録したけれど、いくら画面とにらめっこしてもどうしても電話はかけられなかった。今どんな暮らしをしているか知らないから、何時だと繋がるのか分からない。もう寝ているかもしれない。そもそも電話が繋がったとして何を話すというのだ。 近況を聞くか、お正月に会おうと約束するか、思い出話でもするか。

けれど思いついたからどうしてもかけなければならない気がして、ずっと電話帳の画面を眺めていた。そうこうしている間に夜中になってしまい、携帯の充電が切れそうになった。

私はきっと明日も生きます。明日も生きてください。元気でいてください。だけど明日は、明日もなんて思わずに電話をかけよう。