ものはためし

書く訓練、備忘録

朝との遭遇

夜更かししてDVDを観ていたら5時頃になった。電気を消して目をつぶって、扇風機がぶうんぶうん唸っているのを聴いていた。なんだこれは、やかましいぞ。ただのモーターの音というよりか、鼓動のような、地鳴りのような響きだった。ああこの音をメモしておこうと思った。枕元のノートを開いてペンのキャップをはずした。部屋は字を書くには暗すぎたけれど、消したばかりの電気をもう一度つけるのはきっと明るすぎる。窓の外が少し明るかった。そうだ、窓を開けて外の明かりで書こう。小さいほうの窓を開けた。

 

 

 

朝焼け。

 

朝だ!!!!!

 

 

窓をあけたら夜があけたのか、夜があけたから窓をあけたのか。どちらでもないしどちらでもある。朝とわたしの追いかけっこ。

 朝焼けは雲に映った太陽なのか。少なくとも今日のはそんな風に見える。同じ時間に同じ太陽が地球のどこかに夕焼けを作っていることをおもう。

 わたしは絵は描けないのにスケッチブックなぞ持って、サラサラと描く。言葉でだって絵は描ける。

するどく黄色い雲の切れ目は、オレンジ、黄色、いやピンクだろうか。何色とも言えないグラデーションのようになっている。生きているような空だ。そしてじっと目を凝らすと、雲が動いている!全体的に少しずつずれていく!当たり前なのに!当たり前のことに驚くばかりだ。鳥だ!朝の興奮だ!寝ずに迎えた朝の興奮だ!冷めぬうちに食え、食ってしまえ。

 向かいの家の門灯が点いたり消えたりするのを眺めていた。蛍光灯が切れかかっているのか、センサーが朝か夜か定められずに揺れているのか。そうだわたしも、昨日と今日の区切りをつけそびれたまま朝を迎えてしまったんだ。グラデーションの空をスケッチするグラデーションのわたし。

いよいよ明るくなってきた。これから続いていく朝のうちで今が1番暗いのだと気づいてまた1人驚く。木がわさわさゆれて、車の音も聞こえ始めた。動き出したなあ。